昨年は好きな棋士ランキングシリーズをやりましたが、正直順位付けしちゃうと1位までやらなきゃ、という義務感が出てきてしんどいところがありました。
今後はシリーズものはなるべく順位付けせずにやっていこうかなーと思います。
さて、問題はどんなシリーズをやっていくか。正直ネタが無いなぁ・・・と思っていましたが、ある時職場の同僚と、「好きな店ってよく潰れる」という話で共感して盛り上がりました。
好きな店がよく潰れるなんて私だけかと思っていましたが、意外と他の人にもあるあるなのかもしれません。
そんなわけで今はもう無くなってしまった好きな店や商品など、色んなものを懐かしんでノスタルジーに浸る企画をやってみようと思います。
初回は私が学生時代よく通っていたラーメン屋、麺処月うさぎの紹介です。
世田谷通りのとある一角。ふと雰囲気の良い店が目に留まる。麺処月うさぎというシンプルな表記とメニュー。
洗練された佇まいで初めはうどんかそばの店かと思ったが、よくメニューを見るとラーメン屋であることに気づく。
入店してみると席はL字のカウンターのみ、しかし小綺麗でなかなか繁盛しているようだった。
厨房が少し客席より低くなっていて、調理工程がよく見える。作るところが見られるのは楽しいし、変なことをされる心配が無いので安心感もある。
メニューはうさぎ、月うさぎ、母うさぎ、父うさぎ、子うさぎ、特製うさぎとうさぎの名を冠したものになっていて、かわいらしい。
確かこの初来店時には父うさぎ(チャーシュー麺の麺多め)を頼んだ記憶がある。通いだすようになってからは特製うさぎ(チャーシュー、ワンタン、煮卵入り)ばかり頼んだものだが。
それはともかく注文を済ませて厨房を観察していると、調理は店の主人、接客は女性店員の二人で切り盛りしているのがわかる。見る限りご夫婦なのかなという感じだ。
接客を一人でやるにはやや席数が多いように見えるが、非常に奥さんの方がテキパキしていてうまくこなしている。
特に水の提供が早い。お客のグラスの水が少なくなっていると見るやサッと補充する。私はめちゃくちゃ水を飲むのできっと迷惑な客だったことだろう(^^;)
ご主人の方は必要なことを淡々とこなしていて無駄なおしゃべりはしない。寡黙だが怖い感じはせず、こちらも好感が持てた。
肝心のラーメンはというと、まずスープが非常にうまい。貝柱系のだしがよく出ていてスープだけでも素晴らしい。未だにここのスープよりうまいスープは少なくともラーメン屋では出会ったことが無い。
麺は少し柔らかめの白い麺で、自家製らしい。個人的にはもう少し歯ごたえがあるのが好みなのだが、この店に通ううちに、客層にかなり高齢者や子供が多いことに気付いた。
きっと彼らに合わせた少し柔らかい麺になっているのだろう。地域に根差した良い店だなと思ったものだ。
具も一つ一つ私の好みの感じで、特にワンタンの肉の量が少なめなのが良かった。その方がちょうど皮と肉の量のバランスが良いのだ。
それともう一つ、ラーメンの器がとてもでかい。麺がやや多めなだけでなく、スープもけちらずなみなみと提供してくれるので非常に満足感があった。
それからというもの、ラーメンを食べたくなったらこの店に通っていたものだ。
一度だけ店が閉まっている時間帯に偶然この店のご夫婦が連れ添って店の近くを歩いているのとすれ違ったことがある。もうずいぶん長い付き合いかと邪推するが、とても仲良さそうに歩いていた。
ある日のこと。もう大学も卒業した頃合いだったか、少し久しぶりにここのラーメンを食べに行くと、なんだか奥さんの喉の調子が悪そうだった。声が通りにくいせいか心なしか接客のキレも悪く、少し疲れているように見えた。
そしてそれが、私の最後の来店になってしまった。
次に訪れた時、店はフランス料理の店に変わっていた。ネットで調べると私の最後の来店から少しした後閉店したようだった。
ここからは私の想像でしかないが、きっとご主人は奥さんの体を案じて店を閉めたのだろう。息災であることを願うほかない。
それからも時折思い出しては別の場所で店を開いていないかと検索したりするのだが、今のところ私は見つけきれていない。
いつの日かまたあのご夫婦のラーメンが食べられるのなら、今ではラーメンを食べるだけでお腹を壊すようになった私でもすぐに食べに行くことだろう。
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