2位 本因坊道策
いよいよランキングも残りわずか。ということで一気に行きましょう。
2位は「碁神」とも称される本因坊道策です。なかなか「神」の名がつく人はいないもの。戦国時代で言えば、
「軍神」上杉謙信、「雷神」立花道雪
くらいでしょうか。とにかく強い!という印象です。
道策の生きた時代は秀策とは異なり、同じ江戸時代でもかなり昔でした。その時代には道策のライバルはいませんでした。一番肉薄していたのは弟子の道的という人だったのではと言われていますので、当時圧倒的な強さを誇ったと言えます。
そんな道策、どこが強いのかはうまく表現できません(*_*)
ただ、力強いというよりかは軽やかさ、華麗さが際立ちます。それでいて戦いの強さ、判断力も抜けています。特に最も強いと感じるのは判断力。
捨て石に関する能力がすごく、普通の人が捨てられない石もうまく捨てて他へ先んじ、的確に主導権を奪う印象です。
私の中では囲碁界の最強棋士はこの本因坊道策です。捨て石がうまい、というのは一番稀有な能力と言えますからね。
道策の有名な手は、妙手もさることながら置き碁でのハメ手でしょうか。
4子局。当時は星にカカられたら大ゲイマに受けるのが流行っていました。白5のツケからさっそくハメ手を狙います。黒6、8は黒部分的には正しい対応です。しかし、白9から左右対称に持って行くと・・・
白1の手筋が炸裂!「左右同形中央に手あり」の格言通りですね。これは黒困ります。
黒2とアテると白3と逃げられ、黒4と白5が見合いです。黒2で3からアテても同じこと。
黒2とアテずに打つ方が無難で、これなら黒も石は取られませんが、白3が良い手でしょう。白11まではうまく白サバいたと言えます。
そんなわけで面白いハメ手ですが、現代では大ゲイマに受ける人はあまり居らず、ケイマに受けられるので、あんまり使える機会がないなぁ・・・と長い間思っていました。
しかし最近、そうでもないことに気がつきました。
黒がケイマに受けても、白5のカタツキがあります。この手はAIの登場で最近流行っている手でもあります。対して黒6の受けは普通の手。そこで白7とハネるのです!
普通は白ノビる形ですから、黒は8と切っていきたくなります。するとあら不思議、例のハメ手の形に誘導できるのです!これは面白そう!
黒がハメ手を破ろうとすれば黒12とこちらを打ってしまうのが自然です。そうすると白13とつぐことになりますが、これでもそんなに白悪いわけではありません。手順を変えると・・・
白5、7に黒8と二間にヒラいたのとほぼ同じになります。黒8は微妙な手で、白9と押さえた形は白に不満ありません。
もう一度黒がハメ手を破ろうとした図を見てみましょう。白7の石は取られて損しているので、白が良いとまでは言えませんが、前図の理屈でいくと、差し引きゼロくらいにはなっているでしょう。
置き碁の白としては面白い作戦ではないでしょうか。「ハメ手」は言葉は悪いですが、このように工夫を凝らした発想から生まれます。試しに使ってみるのも一興です。
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