今回のテーマは、AIの代名詞、「早すぎる三々」です。
「序盤から三々に入るのは良くありませんよー」と今まで教え、教わってきた我々に強烈なカルチャーショックを与えたのはやはりこれでしょう。
最新の研究なんて詳しいことはやりません(というか知りません)が、やはりAIを語る上でこれに触れないわけにはいかないですよね。
とはいえ三々の解説はちょっと大変なので、二回に分けてお話ししようかと思います。
まずはどのようなものなのか、ということで下の図をご覧ください。
このような超序盤、辺に展開する以前の段階で三々に入ってしまうのがAI流です。
それ以前はもう少し進んで、辺に石が増えた状況に応じて三々に入る、というのが常識的でした。例えば・・・
このようなケース。左辺や下辺に白石がきたことで、通常のカカリではうまく行きにくい場合に三々が有力、といった具合でした。
さて、この場合、従来の定石は、
この白14~24までの進行が一般的でした。黒が生きる代わりに外の白が強くなります。かなり白強くなるので、例の早すぎる三々は良くないとされたのです。
ところが、この定石に異議を唱えたのがAIです。
「早すぎる三々」では、白12までの後、隅のハネツギを打たずに黒13の辺りに打ってしまおう。というのがポイントです。
これね、私、子どもの頃やってたんですよ。子どもの頃の私すごいな、天才的だな、発想だけならその頃の方が強いんじゃないかなー(笑)
その頃は、隅のハネツギ打たなくても、生きてるんだから打たなくていいじゃん。なんで打つの?と思っていました。
白14、16と打たれても、黒17と打てば楽に生きています。でも、白が先手で黒地を小さくするので、これを打たれるのはつらいんだと教えられました。というより師匠に怒られました(-_-;)
確かに黒からも白からも先手。なら打った方がいいか、と納得して大人と同じになっていったのですが・・・
AIさんは、その先を行っていました。
白にハネツギされたら、黒17、19を打ってさらに手抜き。これがAI流です。二線をズルズル這うのは良くない、というのは定番の常識で信頼度が高く、残念ながら子どもの頃の私でもこの発想には至らなかった。
この黒17、19を打てばもう生きており、
白22、24と攻められてもさらに手を抜ける。確かにこれだけ手が抜ければ部分的には不利でも、全体的に得しています。序盤の大場にどんどん打てるのはとても貴重ですからね。一手20目~30目くらいの価値があります。
と、いうことでこれまでの定石の常識を覆したこのAIの主張は、ここまで解説した観点では大いに理解できます。
し・か・し
私はこの「早すぎる三々」には賛成できません。大きく理由は三つあります。
1.自分で使ってみて全然うまく行かないという自分本位な理由
2.三々はAIにとって計算しやすく、とりあえず進化の途中で簡明な手を選んでいるだけで最善ではないのでは?という私の持論
3.そもそも、三々に入られた時の対応(今回の解説図で言えば、白の対応)が間違っていたのではないか
1と2はどうでもいいですね。大事なのは3です。
現に、この早すぎる三々が打たれ出してからプロもたくさん使用していますが、今回解説した従来の白の対応はもうほとんど打たれません。
これは、従来の白の対応が緩慢だったからではないか、と思うのです。
次回は具体的にその理由について解説します。
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